とけあう、職と住。

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お鍋を火にかけながら図面を引く、そんな暮らしかたが私たちに合っていました。

築60年のレトロなビルの一室を、味わい深い躯体はそのままにリノベーション。
ご夫婦で建築設計事務所を運営されている、O様のオフィス兼ご自宅です。
間取りやインテリアは、もちろんお二人で考えられました。

「僕が勤めていた会社から独立したころ、上司から『仕事場と住まいは分けた方がいい』とアドバイスされたんです。
言われるまま、ずっと別の場所に事務所を構えていたんですけどね。
結局、家に帰っても考えるのは仕事のことばかり。
僕には職住一体が合っていたようです。
忙しすぎて、実現するまでに10年かかりましたけど」と、ご主人が笑いながら振り返られます。

空間のイメージは「1970年代のニューヨークに点在していたアートギャラリー」なのだそう。
「当時のキャストアイアン(鋳鉄)建築が好きなんですよね。
この空間を見たときも、アイアンのサッシを絶対に活かしたいと思いました。」
そしてもう1つ、ご夫婦が気に入られたポイントは中庭があること。
都会の喧騒の中でも、中庭を囲む構造のせいか時おり静寂が訪れ、アイアンのサッシを開け放せば心地よい風が家じゅうを駆け巡ります。
また、どこに居ても中庭からの光を感じられるように固定壁を設けず、床のレベルや仕上げ材を変えたり、間仕切り収納を利用するなどして大空間をやわらかくゾーニング。
「キッチンを隠すかどうか2人で悩みましたが、この開放的な雰囲気を壊したくなかった。
いっそ見せればいいんじゃないかと。それに耐えられるのがスイージーだったんです。

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考える、休む、また考える。その動線上に、ひらかれたキッチン。

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静かに佇むオークの質感が、グレイッシュな空間イメージと良く馴染んでいるキッチン。
ご主人いわく「躯体だけじゃなく、中庭の緑や後から設置した収納家具とも呼応しているでしょう。
古いものと新しいもの、両方に調和することもスイージーを選んだ理由でしたね。」

普段、どんなに仕事が忙しくても、三度の食事はどちらかが必ず作るそう。
「以前は夕方に初食事、なんてこともしょっちゅうでしたし、疲れて帰ってきてから手の込んだものは作りたくなくて。
今は仕事の合間にキッチンに立てるから、健康的な食生活になりました」と奥様。
夕食の煮込みをしながら図面を引くことも日常なのだとか。
職住一体の暮らし方が、ご夫婦にとってはやはり大正解だったようです。

今では、この空間にお施主様を招き、ダイニングテーブルやリビングのソファで打ち合わせされているとのこと。
「どんどん雑談になっていくんですけどね(笑)。
そんな、ざっくばらんな会話から設計のヒントが得られることも多いんです。」
確かに、コートヤードからの光とコーヒーの香りに包まれていると、気持ちがほどかれ、思わず時間を忘れてしまいそう。
「みんな長居するんですよ」というご主人の言葉に、深くうなずけてしまう心地よさがありました。

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1. 一目惚れした水栓。樹木をイメージしたデザイン、と知って納得しました。
2. ステンレスのワークトップとシンクの洗練された雰囲気に惹かれました。
3. 大容量、ステンレスフェイス、静かさ、どれをとっても合格。
4. ひらめきが降りてくる、オープンな収納棚。

O様邸。 ご主人様(44)/ 奥様 (39)

住居形態:ビル/リノベーション

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